2024年10月31日
静岡県知事 鈴木康友 様
優生保護法問題の全面解決に向けた要求書
旧優生保護法被害静岡弁護団
静岡県聴覚障害者強制不妊手術調査委員会
きょうされん 静岡支部
2024年7月3日、最高裁大法廷は、旧優生保護法を憲法違反と断罪しました。
これを受け、10月8日に「旧優生保護法に基づく強制不妊手術の被害者らを救済する補償金支給法」が可決・成立しました。
ついては下記のとおり要求いたします。
記
Ⅰ. 静岡県の責任を明らかにし、知事名で公式に謝罪し、県民に公表してください。
その上で、今後の取り組みについての決意を表明してください。
Ⅱ. 今後の取り組みについて(詳細は、別紙)
1 全被害者の人権回復のための広報、調査、周知(個別通知を含む)、相談支援の取り組みを実施してください。
2 第三者から構成される機関により真相究明、再発防止のための検証を実施してください。
3 優生思想、障害者への差別の根絶に向けた施策を実施してください。
4 継続的な協議の場を設置してください。
以上
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(別紙)
1 旧優生保護法被害等についての広報・調査・周知・相談支援について
(広報)
① 静岡県広報紙への掲載に留まらず、テレビ、ラジオ、デジタルサイネージ等、多様なツールを用いて広報を行ってください。
② 医療機関、障害者施設、児童施設、高齢者施設への周知を継続してください。とりわけ、被害者の年齢を踏まえ、高齢者施設、療養型医療施設、地域包括支援センター、
居宅介護支援事業所等へ周知を強化してください。
③市町へ協力依頼を行い、介護保険認定調査や障害支援区分認定調査時にリーフレットを配付してください。
④医療・福祉関係者へ優生保護法被害等についての広報、被害者への支援の依頼を行ってください。
(調査)
①静岡県、市町、保健所、各福祉施設、病院において、関係書類等の保全を図るために、書庫・カルテ保管庫等を含め詳細に点検し、関係書類の有無を再確認してください
(収集でなく、各機関での確認)。
②長期入院患者がいる精神病院、長期入所の障害者施設においては、被害者の有無について、確実に調査してください。
(周知・申請の支援)
①優生思想に基づく手術が誤っていたことを周知し、被害者が申し出やすい環境を作ってください。
②家族が沈黙を守るように強いてきた経過を踏まえ、家族等への啓発、周知を行ってください。
③調査、周知の結果、被害者の連絡先が判明した場合には、被害者が入所している施設等関係機関に対して、申請に係る情報提供を被害者に行うなど適切に申請の支援を
行うように依頼してください。
④判明した被害者に個別通知ができるように他県の実施事例を調査し、検討してください。
(相談支援)
①円滑な診断が得られるように、静岡県から各医療機関へ協力要請を行うとともに、相談者から依頼があれば、医療機関を紹介してください。
②聴覚障害者にとって安心して相談が受けられる窓口の周知に努めてください。また、聴覚障害者からの相談受付について、確実に手話通訳や要約筆記の対応が可能な
相談へつなぐように各市町村担当職員へ周知徹底を依頼してください。
2 検証、再発防止の取り組み
①国の検証の取り組みへの全面的な協力を行うとともに、静岡県での被害実態について、第三者から構成される機関により検証し課題を総括してください。
②保健所の優生相談や「聾学校における優生手術の推奨」に類した静岡県の優生思想普及運動、遺伝相談などの検証を行うとともに、現在も優生思想に基づく施策が
残っていないか点検してください。
3 優生思想や差別を根絶する取り組み
①障害者権利条約を踏まえ、医学モデルを改め、社会モデル/人権モデルに基づく施策を行ってください。
②学校教育において保健体育や家庭科で優生思想教育が行われてきたことを反省し、障害者と共に生きることを広げる教育を行ってください。
③優生保護法問題について、学習会を実施するなど広く県民啓発を行ってください。
④その他、具体的な差別撤廃の取り組みについては引き続き協議してください。
4 継続的な協議の場の設置
① 優生保護法問題の解決および優生思想や差別を根絶するための諸課題について、関係団体、弁護団等との継続的な協議の場を設定してください。
<静岡県聴覚障害者強制不妊手術調査委員会構成団体>
公益社団法人静岡県聴覚障害者協会
静岡県手話通訳問題研究会
静岡県手話通訳士協会
静岡県手話サークル連絡会
(以上)